甲斐駒ケ岳(南アルプス)2967m
甲州では甲斐駒ケ岳、信州では白崩山(しろくずれやま)、そして登山者は甲斐駒と歯切れよく呼ぶ。水成岩が基盤の南アルプスの中で、甲斐駒周辺だけは火成岩の花崗閃緑岩で覆われ、白い岩峰と白い風化花崗岩砂礫で白いピラミッドと呼ばれている。友人と二人、日本百名山でもある南アルプスの名峰、憧れの白いピラミッド「甲斐駒ケ岳」を目指した。
南アルプススーパー林道は一般車両が通行止めとなっているため、登山基地となる北沢峠へは戸台口(仙流荘の奥)にある駐車場に車を止めて、伊那市営バスで北沢峠へ向う。今年の夏は記録的な猛暑となり、下界では連日の猛暑日、北沢峠は標高2030m、さすがに涼しい・・・ 1日目は北沢峠から少し下り、北沢長衛小屋(キャンプ地)から沢沿いに、シラビソの森を「仙水小屋」まで1時間足らずの楽しい歩きで小屋に到着。小屋の定員は30名、完全予約制となっている森の中にある小さな小屋。ここの水はまさしく南アルプス天然水、おいしい水だった。そしてトイレは昔懐かしの水洗トイレ。(常時水が流れている水洗、どう処理されているのか・・・?)
夕食は外のテラスで(小屋の中に食堂がない)4時半から、ちょっと早いが山小屋の夕食は何処も早い、一切れではあるが刺身が付いていたのには驚いた。 夕食後は外のテラスでコーヒーを沸かしアフターを楽しみ早めに就寝した。翌朝3時15分に部屋の電気が点灯、朝食は4時からと聞かされていたがびっくりして起きる。全員の寝具を片付け、その場にテーブルが出され、手際よく朝食の準備、揃って朝食。食事が終わったがまだ真っ暗、でも宿泊者は順次出発されていく、我々もザックを整えてヘッドランプを付けて出発する事にした。(1泊2食付6500円、リーズナブルな小屋です) おかげで、仙水峠でご来光を拝むことが出来た。峠からは眼前に摩利支天の岩峰がそびえ、その奥に甲斐駒ケ岳の山頂を望む事ができた。
仙水峠から駒津峰への登りは樹林帯の急登で、標高差が約500m、1時間半のきつい登りだったが、駒津峰からの眺望は朝早いのも幸いし、北アルプス槍ヶ岳から穂高連峰、乗鞍岳、御岳、中央アルプスの峰々、南には大きなカールを持つ仙丈岳が間近に、北岳、間ノ岳、塩見岳と南アルプスの峰々、その左奥に富士山を望み、八ヶ岳を除く周辺の山々を見渡すことが出来た。 眺望を満喫して駒津峰から痩せた岩陵を渡り廊下のようにやや下ると、花崗岩の巨岩が目印の六万岩。この先、巻き道と直登するルートに分かれるが、我々は直登するルートを選んでしまった。直登コースは、岩場の急登が続く最後の登り、あせらずに一歩一歩ゆっくり登り、不動明王が祀られ、一等三角点が設置された広々とした山頂に到着。 山頂からは今まで見えなかった「八ヶ岳」連峰を望み、正面に大きなカールの「仙丈ヶ岳」、さらに日本最高峰の「富士山」、第2位の「北岳」第3位の「間ノ岳」と壮観である。 山頂では偶然、袈裟姿の修験者(お坊さん)と遭遇、改めて信仰の山を実感させられた。 下山は巻き道を選び、麻利支天に立ち寄り下る事にした。駒津峰まで戻り、右ルートをとって双児山のピークを越え、樹林帯の中、涼しい風を感じながら急坂のつづら折りの登山道を北沢峠まで戻った。天候にも恵まれ、気持ちの良い南アルプス山行でした。
記:上原