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亀岡山岳会(KAC) 
個 人 山 行 報 告


個人山行報告 2023年3月28日(火) 天候:快晴

高御位山(タカミクラヤマ)(304.2m)・播磨アルプス縦走
 

参加者  川村、上原、岡本(記)


 今年は桜の開花が早くて、もう満開の便りが届いているところもある。暖かい日が続いている。今日も予報では、高気圧に覆われて穏やかで過ごし易い陽気になるようで、日中は18度予想となっていた。
 高御位山は、兵庫県高砂市と加古川市の境に位置する。東から見ると富士型に見えるところから「播磨富士」と呼ばれ、高御位山を最高峰とする馬蹄形の山塊は「播磨アルプス」と称される。兵庫県の西南部・県面積の約4分の1を播州(播磨国(ハリマノクニ))が占め、東播地区は標高こそ低いがアルペン風の岩稜の山が多く、ダイナミックな岩尾根を楽しめるようである。地質は黒雲母流紋岩(クロウンモリュウモンガン)などで、土が少なく養分が行き届かないために植物が大きく育たない。植生は、松や小楢(コナラ)・冬青(ソヨゴ)に混って山躑躅(ヤマツツジ)や小葉の三葉躑躅(コバノミツバツツジ)などが多く見られた。

 
 午前7時過ぎに亀岡を出発した。摂丹街道423号線を豊能町を経て、箕面とどろみI・Cから新名神高速道路に入る。
 
 宝塚北S・Aにてトイレ休憩の後、神戸JCTから山陽自動車道に入り、加古川北I・Cを降りて一般道に入る。43号線を南下し、志方東小学校を通過し、8時50分昼食準備のためLAWSON(志方町店)に立ち寄る。ここからは、播磨アルプスの山並みを望むことが出来た。買い入れを済ませ志方町成井の登山口駐車場へ向かう。
 
 原西地区を通過し9時03分成井駐車場に到着した。桜が満開である。約12〜3台の駐車スペースがあり、何とか駐めることが出来たが、殆んど満車状態であった。平日にも関わらず多くの登山者があるようである。休憩所・トイレが設置されている。駐車場付近を初老の方が、首に大雪山の日本手拭いを巻いてウロウロされている。声を掛けて話してみると、すぐ近くに「55台程駐車出来るところがある」と云う情報を得た。

 志方町成井の登山口からはコースタイム45分で登頂出来る。ハイキング感覚でこのコースを利用されている方も多いようで、沢山の子供連れの家族や高齢者にも出合った。

 両脇に「高御位神社」とある、石の門碑を通り参道に入る。

 直ぐに熊野権現修験の小さな朱の社があり、ここには自動販売機が設置されていた。飲み物が調達出来る。

 ここからは、神社への参道が登山道となっていて、階段状に整備され九十九折りの山道脇には可愛いい草花が植えられている。
 
 また、一丁…二丁と丁石碑が建つ。頂上まで十六丁が確認出来た。辺りには沢山の小葉の三葉躑躅が咲き誇っている。五丁目を過ぎたあたりで休憩をとる。

 成井地区の町並みが見渡せた。雲一つ無い快晴で、日本列島は高気圧に覆われている。春が始まったばかりなのに、暖かいと云うより初夏の陽気で汗ばんでくる。
 
 また、長く続く階段に息が上がる。十丁目あたりの鞍部で水分補強とする。ここには、余り見かけなくなった「笹ユリ」自生地の案内が出ていた。石清水が湧き出しているところには、岩檜葉(イワヒバ)の群生が見られる。

 暫く登ると十六丁目の岩稜付近で、北山奥山〜中塚山(183m)〜小高御位山(横大路山・185m)コースの登山道と合流する。見上げれば山頂には「飛翔の碑」が光っている。

 これは大正10(1921)年に関西初のグライダー飛行に成功した志方町出身の渡辺信二氏を顕彰するものである。

 間も無く高御位神社に10時12分辿り着き参拝する。本殿は昭和58年4月に火災焼失し、同年12月に再建されている。大国主命(オオクニヌシノミコト)・少彦名命(スクナヒコナノミコト)(淡嶋神)の二柱を高御位大神(オオカミ)として御祭神としている。本殿は東南方向の伊勢神宮に向いている。ここは、縄文時代からつづく信仰の聖地である。伊勢神宮と出雲大社のちょうど真ん中(緯度・経度)にあり、地磁気水平分力は、30900nT(ナノテスラ)で、伊勢神宮と出雲大社と同じ値であり、ここがパワースポットの聖地とされている。
 
 と、言うのは、前後しながら同行登攀してきた、何度も登っているという地元の方にいろいろ教えて頂いた。三角点は神社脇にあり、標高300メートルだが横の大岩が高いので標高は、304メートルとされている。清潔なトイレが設置されていた。


 岩頭の山頂部南側は、胸のすくような展望が広がり、播磨平野や瀬戸内海を一望できる。少し西へ進むと、阿弥陀町長尾登山口へつづくコースが合流している。

 反射板と展望図のある方位盤と石柱が建つ。同じ方に360度望める山々を教えて頂いた。春霞みの中、淡路島をうっすらと望むことが出来た。
 
 ここから、展望のいい縦走路を西に進む。岩稜のアップダウンを繰り返し長尾山(長尾奥山.263m)を過ぎる頃には、鹿嶋神社登山口の大鳥居を望むことが出来る。

 威風堂々、参道の入口に建つ。航空機にも使われているチタン製の大鳥居で鈍い錫色が光り輝いている。高さ26m、幅は35mもあり平成10年に完成したようである。
 
 汗を拭いながら岩稜を進むと、市ノ池公園への分岐に差し掛かる。岩尾根が繰り返し現れるが、岩尾根といっても鎖場やよじ登るような箇所は無い。
 
 桶居山(オケスケヤマ)(248m)への分岐からは、円錐形・ピラミダルな登高欲をソソる山容を望むことが出来る。今回は、西に進み鷹ノ巣山東峰(264.2m)へ向かう。
 
 鷹ノ巣山は双耳峰で、昔は東鷹ノ巣山・鷹ノ巣山と区別されていたが、現在は纏めて「鷹ノ巣山」と呼ばれているようである。三角点がある。
 
 11時30分馬の背が望める岩場で昼食とした。山陽新幹線が通過するのを何度も見ることが出来たが、姫路城が望めるとのことで、目を凝らして探すも春霞みもあって見届けることが出来ない。

 
 下山するにあたって、来たコースを戻るか?馬の背を経て市ノ池公園方面へ進むか?別所奥山(209m)から鹿嶋神社方面へ降りるか?検討の結果、下山後の成井駐車場までの距離を考えて、鹿嶋神社へ下山することにした。
 
 岩尾根のアップダウンを進み、別所奥山を越え、鉄塔を過ぎると「百闃竅vと呼ばれる巨大な一枚岩の岩盤域に辿り着く。これは、噴火で噴き出た溶岩が急速に冷やされ砕け固まって出来たとされている。この岩稜を下る。傾斜こそ緩いが油断禁物である。広い斜面には、決まったルートは無いようで、脇にはペンキ印もあるが、下り易いところを降りればよいようである。ザラ付く岩肌は登山靴でシッカリ捉えることが出来る。
 
 ここからは馬の背尾根の断崖「鷹巣崖」を望むことが出来る。ここは古来より信仰の対象であったところ。景勝を持って聞える鷹ノ巣崖の栄をトして社を建て祀ったようで、洞窟も窺える。馬の背尾根を下山していれば見れないところだった。

 百闃竄下りたところに半円形の展望台が設置されている。眼下には阿弥陀町の民家が広がっていた。
 
 この辺りには、龍舌蘭(リュウゼツラン)が群生しており、乾燥地帯を思わせる。植え付けたものであろうが多く見られた。
 
 地蔵山(194m)方面コースからの分岐を過ぎると、間も無く末社の建ち並ぶ、鹿嶋神社の本殿横にある、標高50m地点の三宝荒神社の登山口へ12時57分無事下山した。

 安全に無事下山の感謝を込めて参拝した。暫く休憩をとる。鹿嶋神社は、姫路藩主の崇敬を受けた「一願成就」で知られるところで、聖武天皇(724〜749年)勅願の国分寺・大日寺建立時に鎮護の神として祀られたのが始まりという。
 
 参道には名物の柏餅を商する店舗(ミセ)が軒を並べていた。鷹狩りに来た姫路城のお殿様をもてなすために作ったのが起源とされている。
 
 社務所へ下りて、御朱印を頂く。健脚者3名で車の駐車している成井登山口まで歩くか?との話もあるにはあったが・・・タクシーを待つこととした。伊保タクシーを社務所で呼んで頂き、桜満開の境内で待つ。
 
 大きな「一願成就」の石碑が聳えていた。伊保タクシーにて成井登山口駐車場へ向かう。料金2660円約15分の距離であった。14時15分出発地点へ戻り、身仕度を整え帰路につく。55台収容可能な駐車場を確認し、一般道にて帰ることとする。372号線に入り篠山街道を亀岡へ戻った。

<<コースタイム>>
成井登山口9:17〜高御位山山頂10:12〜長尾山(長尾奥山)10:40〜市ノ池公園分岐10:58〜桶居山分岐11:10〜鷹ノ巣山東峰11:23〜11:30(昼食)12:00〜別所奥山(鉄塔)12:20〜百闃12:30〜展望台12:45〜鹿嶋神社13:00

記:岡本