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亀岡山岳会(KAC) 
春 山 合 宿 報 告


春山合宿報告 2025年4月21日(月)〜22日(火) 天候:快晴

淡路島 諭鶴羽山(ユヅルハヤマ)(608m)・先山(センザン)(448m)
 

参加者  L:岡本、梅井、名倉、上原、守山、吉田、小澤


 当初春山合宿は「大菩薩嶺・甘利山」への登山計画であったが、積雪により予定変更となった。急遽、淡路島の最高峰「諭鶴羽山」と古事記、国生み神話で最初に出来た山とされる霊山「先山」の2座を選出した。
 21日(月)午前7時にJR亀岡駅北口に集合し出発する。摂丹街道423号線を西へ進み、箕面とどろみI・Cから新名神高速道路に入る。午前8時宝塚北S・Aにてトイレ休憩をとり昼食を調達した。神戸JCTから山陽自動車道に入り、三木JCTを南下、世界最大級の吊り橋・明石海峡大橋を渡り淡路島に入る。神戸淡路鳴門自動車道の大観覧車のある淡路S・Aにて8時50分休憩を入れる。快晴で初夏のような陽射しであった。

 
 再出発し自動車道を南下、洲本I・Cにて高速を出て国道28号線を西へ向かい、円行寺交差点を左折し諭鶴羽ダムを目指す。雨の少ないこの地域では幾つかのダムが点在している。道路脇の畑には、淡路名産の玉ネギが大きくなっていて、畑からは、少しネギの香りが感じられた。「南あわじサイクリングターミナル」(休業中?)の先で諭鶴羽ダムを渡り、裏参道登山口へは、9時45分到着した。
 
 神戸ナンバーの数台が駐車されていた。道路脇の広いスペースに駐車する。登山準備を整え10時丁度に出発する。

 諭鶴羽山は、近畿百名山・ふるさと兵庫50山・ひょうごの森百選などに選ばれている。淡路島最高峰で、古くから語り継がれる神話と、島ならではの絶景が魅力の山である。山頂近くには、国生みの神・伊弉冉尊(イザナミノミコト)を祀る諭鶴羽神社が鎮座し、中世には修験道の一大道場として栄えた、歴史ある低山である。諭鶴羽ダム登山口から古道(裏参道)を登る。狭い階段を登ると、登り口には登山者用に何本もの杖が準備されていた。杉木立の中の急登が始まる。登り切ると「牛内ダムへ0.2km」の表示標識がある。10時15分ここで小休止を入れる。尾根脇は深く落ち込んでいて、標高約300mのところにある牛内ダム湖が見える。見晴らしはいいが雪庇状態の尾根筋に居るようで、早々に本道に戻り先へ進むと10時22分少し開けた場所に辿り着く。裏参道沿いの磐座(イワクラ)に鎮座する神倉(カンノクラ)神社で諭鶴羽神社の摂社である。
 
 修験者は、ここに心の荷物を預け清々(スガスガ)しい心で諭鶴羽神社に参詣していた。そのため心の荷物を預ける神の倉庫(クラ)と呼ばれた。お地蔵さん・お不動さん・役行者などの石仏が祀られている。休憩の後先へ進む。
 
 登山道には登山者が目印になるよう積み上げる積み石(ケルン)が多くあり、それだけ登山道には小石がゴロゴロしている。今日は雲一つ見当らない快晴でも、木立ちの中の登山道は陽射しを遮り快適空間を作り出している。
 
 登山道は平坦で穏やかなところや、少し急坂の場所もあって、じわりじわりと高度を上げて行く。途中、距離が一丁(約109m)毎に示す昔の標識で、舟形丁石と呼ばれる地蔵石仏が諭鶴羽神社までの二十八丁を登山道に立ち並ぶ。穏やかな表情のお地蔵さんに癒やされ、十七丁石から数えながら進む。山肌に萬年青(オモト)が群生している。山頂まで0.4kmの標識地点11時35分で休憩を入れた。迷彩服柄の木地肌の木を多く見掛けるが、何と云う樹木なのか?休息を終え標識を右折して山肌を登る。
 
 電波塔の建物脇を通り過ぎ、山頂手前からは、表参道と継がるコンクリート道となる。神社までが1.4kmの標識地点で舗装路を右へ折れると11時47分山頂へ辿り着いた。
 
 少し広場になっていて、神社の御旅所とある。360度が見渡せる。春霞で長閑な…終日(ヒネモス)のたりの春の海が広がっている。
 南東方面には、紀伊半島や和歌山市街が望める。万博会場が見える?とか、俄か似非(エセ)案内人と化しながら色々と絶景を眺め尽くす。ここで頂きメシタイムとした。

 山頂広場の廻りには樒が多く見られ黄色い花を付けていた。神社方向へ下ると、兵庫県指定の天然記念物となっている赤樫(アカガシ)の群落が見られるようである。ゆっくり休息の後、12時42分神社への参拝を断念し下山することとした。
 登って来た参道を戻る。丁石地蔵仏を確認しながら、ゴロ石が多く転がる登山道を足元に気を付けて慎重に下山する。上溝桜(ウワミズザクラ)の白い花房が青空に映える。
 
 14時05分神倉神社まで下山し少し休憩する。登山時には気付かなかった十二丁石も発見する。杉林のジグザグ道を下り14時23分無事ダム登山口へ下山した。汗を拭い、身仕度を整え宿泊地へ向かう。南あわじ市広田の「サンライズ淡路」へは15時05分到着した。少し熱い目の温泉に癒され、豪華な夕食に舌鼓を打ち、和やかな雰囲気で就寝した。


 ◆二日目は、朝風呂と7時からの朝食を済ませ、8時に宿泊所の「サンライズ淡路」を出発し、本日登る先山へ向かう。県道469号線を上内膳(カミナイゼン)から下内膳へ高速道の高架を越えて千光寺参道登山口を目指す。
 
  千光寺と書かれた小さな道標を見付けながら進み、三叉路手前の3〜4台が可能な駐車スペースに8時30分到着した。登山準備に入る。軽トラで来られた男性に話しかけて付近の案内を頂いた。

 先山は「淡路富士」とも呼ばれる秀麗な山容である。古事記に於いて淡路島は、日本神話では最初に生まれたとされる島。その中でも、日本列島開闢(カイビャク)の一番最初に出来た山と云われている。国生み・神生み神話に因れば、「かつて、天地が開け始めた頃、神々が住む高天原(タカアマハラ)に現れた伊弉諾尊(イザナギノミコト)・伊弉冉尊(イザナミノミコト)という男女一対の神様が、混沌とした海のような下界に国を造るよう命じられた。天の浮橋(アメノウキハシ)から二人が天の沼矛(アメノヌボコ)を下ろしてかき混ぜると、矛の先から滴り落ちた潮が固まって「おのころ島」になり淡路・四国・隠岐・九州と次々に国が生まれた・・・」と。不動産業を営むイザナキ・イザナミが日本列島宅地造成中に最初に出来た山として先山と称するらしい。

 
 8時40分登山開始。先ずは小楢(コナラ)や椎(シイ)などの雑木林で自然林の中、コンクリート道を登り始める。暫く進むが登山道は綺麗に落ち葉が掃かれていて、道脇には竹箒などの清掃道具が散見される。七丁石辺りからの段々にも掃除痕が見受けられる。これは麓の6人程の方々が当番場所を決めて清掃活動を続けられているようだ。気持の良い登山道で有り難い。途中、下山されてきた男性から、お寺は高野山の流れを組むとか、見どころとかをアドバイス頂いた。
 
 やがて地道に変わり九丁石のところには、大きな石と、山の守護神とする不動明王を刻んだ石仏があった。平安時代に修験道が伝わり、江戸時代には多くの修験者たちが訪ずれたといわれている。登るに連れて森が鬱蒼としてくる。すだ椎(ジイ)や薮肉桂(ヤブニッケイ)などの常緑広葉樹が広がる。
 
 9時35分見晴らしのいい左側が開けた休憩場所に到着する。洲本平野が一望出来た。休憩を取る。今日は晴れてはいるが雲が多い、急坂の続く登山道に息が上がり吹く風が有り難い。先に進むが険しい急坂が続く。十六丁石まで登って来ると左手に岩戸神社の鳥居が建っている。
 
 少し下ると大木が林立していて石垣が組まれ狛獅子が社を守る。背後には高さ8mの巨岩に注連縄が掛けられていて、これがご神体。地元ではこの大きな岩の割れ目に天照大神(アマテラスオオミカミ)が隠れた天の岩戸(アマノイワト)であると伝わっている。いろんなところに岩戸の伝説を持った岩壁もあるが、その中でも、一番最初の山・先山の岩戸という聖域であり、イザナキの子供である天照大神を祀る神域は、忝く神々しい。揃って参拝した。鳥居まで戻り本道を登る。
 
 道が狭くなってくると十七丁石があり、建物が現われる。大正時代から続いていたというお茶屋で「あんころ餅」やうどん屋として賑わっていたそうだが、30年程前に店を締めたようだ。


 建物脇を進むと石段が始まる。別格本山千光寺の石塔の前で記念撮影を済ませ、なおも昇ると不動堂があり、横には寺務所がある。八重桜が満開だった。ご朱印をお願いした。
 
 左へ進み石段を昇ると「洲本八景7 千山よりの眺望」の展望所があり流石に見晴しがいい。洲本平野から遠く淡路の海景が広がっている。
 
 千光寺の朱塗りか?赤い仁王門が見え、石段を登り切ると、先山山頂に到着した。
 
 10時18分先山千光寺の扁額を掲げ、阿吽の仁王が睨みを効かす。右のお百度石や左に十八丁石や鐘楼がある。狛犬ならぬ狛猪の出迎えを受け、伽藍を本堂へ進むと、丁度法事の最中で読経が流れる。

 揃って参拝した。先山千光寺は淡路第壱番霊場で開基は延喜元年(901年)である。本尊は千手観音菩薩で「・・・その昔播州から大猪を射て追いかけてきた猟師が先山に登ると矢が刺さった千手観音を見つけた。」との伝説が残る。
 
 本堂の隣には神仏習合からか「二柱大御神(フタハシラノオオミカミ)」の石柱と社が建つ。丁寧に参拝し拝礼した。二柱大御神とは、国生み神話の主役イザナキ・イザナミのこと、神様を祀るという信仰が最初にあって、その後にお寺が創建された。古くから先山は日本最初の山として信仰を集めていた。重要文化財で弘安六年(1283年)鎌倉時代の凡鐘にも、先山は、日本最初の山と刻まれている。諭鶴羽山を始め淡路島には数ある山々の中で先山が最初の山とされているのは、奥に建つ、海上安全の神様である金毘羅大権現にも起因している。先山は瀬戸内海はもとより神戸の方からも見えるというような山で、その目印とされていたようだ。海の上からも見えた先山は、麓に住む人達だけではなく船乗りや旅する人々からも目印の山であった。日本で最初に・・・と云うのはこう言ったことがあるからかも知れない。

 10時32分紀伊水道から四国までの絶景を眺めながら下山する。
 
 石段下の先には駐車場があり、車で登れるようだ。来た道を下る。岩戸神社鳥居の地点を過ぎ、ジグザグ道を下る。風があり涼しい。階段状の参道を過ぎ舗装路に入る。車止め地点を過ぎれば間も無く駐車地点登山口で11時25分無事下山した。
 身仕度を整え昼食に向かう。南あわじ市山添にある丸亀製麺南あわじ店へは12時00分到着し、大繁盛の中、好みに合わせて昼食とした。其の後「あわじ花さじき」公園に立ち寄ることとした。洲本I・Cから高速に入り東浦I・Cを出て一般道を島北部の小高い山上にある公園に向かう。
 
 13時00分に到着した。公園では帽子が飛ばされそうな程の海風が強い。黄色く満開の菜の花畑に出迎えられて芝生の丘を登って行くと「ポピー」なのか?色とりどりの花房が強風に揺れている。
 
 花壇に他の花は余り咲いていないようだ。巡回すると花満作(ハナマンサク)の紅い花が見られた。パンジー花壇では、牛の顔がモザイクされている。一廻りして帰路につく。13時30分観覧車のある淡路S・Aに立ち寄る予定が、進む道路からは入れずに高速道路に突入する。3911mの明石海峡大橋を渡り、山陽自動車道の三木JCTを通過し14時10分淡河P・Aにてトイレ休憩を取った。神戸JCTから新名神高速道路に入り箕面とどろみI・Cを出て摂丹街道423号線を帰る。15時30分JR亀岡駅北口に事故も無く無事帰着した。
 いろいろご協力有難うございました。お疲れ様でした。

◎諭鶴羽山 <<コースタイム>> 
諭鶴羽ダム登山口10:00〜神倉神社10:22〜11:47諭鶴羽山山頂(昼食)12:42〜神倉神社14:05〜諭鶴羽ダム登山口14:23

◎先山 <<コースタイム>> 
駐車場登山口8:40〜洲本平野を眺める休憩所9:35〜岩戸神社9:55〜お茶屋跡建物10:05〜10:18先山山頂千光寺参拝見学10:32〜お茶屋跡建物10:37〜岩戸神社鳥居10:43〜洲本平野を眺める休憩所10:52〜駐車場登山口11:25

記:岡本